遠藤 美穂子 他

財団法人三友堂病院医学雑誌 Vol.12 No.1

Short Communication

            具体的事例提示による看護学生の基礎看護技術学内演習の効果
Efficacy of the rehearsal with some individual case presentations by nursing school students for the practice to acquire basic nursing skills

遠藤 美穂子、南 美千子

財団法人三友堂病院 看護専門学校

Key words:基礎看護技術、学内演習、個人演習、事例提示

Mihoko Endo, Michiko Minami

Sanyudo hospital nursing school

要約


基礎看護学実習Ⅱは「看護の対象である人間に対し、生命の尊厳・人権尊重に根ざした態度を養うこと」、および「看護実践の基礎となる説明、安全性を配慮した知識・技術・態度を修得すること」を目的とし、高等看護専門学校の2年次の前期に行われている。この実習に向けて看護学生36名を対象に、基礎看護技術の習得と患者への提供のイメージ作りを目的に、事例を用いる基礎看護技術学内演習(以下、演習とする)を行った。演習では、提示された2事例から学生が1事例を選択して、日常生活援助技術に関する9技術について模擬患者に対して技術提供した。演習終了後に演習に関しての自記式質問紙調査を行った。
その結果、実習での基礎看護技術提供がイメージできた学生が97%、また自己の課題が明確になった学生は97%であった。事例を用いる演習によって、基礎看護学実習Ⅱでの基礎看護技術提供をイメージすること、および、基礎看護技術に関する自己の課題を明確にすることができるようになった。また、個人演習としたことにより、その時々の状況に合わせて自分で予測、判断、行動する重要性を学ぶ機会となった。一方、学生が演習で得た自己の課題や学びを実習に効果的に活かし、自信を持って基礎看護技術提供を行えるようにすることがこれからの課題として抽出された。そのためには、演習の機会の確保や教員による適切な指導と支援が必要であると考えられる。