南條美智子 他

2010年7月2日

財団法人 三友堂病院医学雑誌 Vol.3 No.1

原著

白内障術後感染予防への点眼指導の効果-患者用クリニカルパスに自己点眼評価を組み入れて-
The effect of applying-eyedrops education to cataract post operative infection prevention.-The evaluation of self-opplying-eyedrops is included in clinical path for patients-

三友堂病院看護部

南條美智子、後藤富喜子

三友堂病院眼科

貴嶋孝至、山口幸寿

昭和大学医学部眼科学教室

植田俊彦

Key word:白内障、術後感染予防、クリニカルパス、点眼指導

要約

 白内障術後には感染予防のため、抗生物質及び消炎薬の自己点眼が必要である。当科では、患者が正しい自己点眼方法を修得する為に平成14年7月より患者用クリニカルパスに自己点眼評価を加えて点眼指導を行ってきた。平成13年7月から平成14年7月までに白内障手術を受けた60歳以上の症例40例について、点眼指導導入前の20例(A群)、と導入後の20例(B群)の2群にわけ自己点眼法の修得の程度について比較検討した。点眼方法の評価はB群に対しては入院時、退院時、再診時の各時点で、又A群に対しては再診時にのみ評価を行った。評価項目としては、点眼前の手洗いの有無、正しい点眼(角結膜に入る、眼瞼にこぼれない)ができているか否かを看護師が評価した。再診時の点眼評価において、正しい点眼方法が可能であった症例は、A群10例(50%)に対して点眼方法のB群では20例全例(100%)であり、B群で有意に正しい自己点眼方法を修得することができた。以上により患者パスに点眼評価を取り入れた点眼指導は有効であると考えられた。