佐藤裕也 他

財団法人三友堂病院医学雑誌 Vol.10 No.1

原著

消化器外科領域における術後ドレーンの有用性に関する検討-半閉鎖式、能動的閉鎖式、受動的閉鎖式ドレーンの比較検討-
Evaluation of the post-operative drainage methods for the gastrointestinal surgery-Comparison of drainage methods using three types of appliances: semiclosed system and closed system with active suction or with passive suction-

三友堂病院看護部

佐藤裕也、小林あゆみ、塩地由紀、志田歴美、高橋廣子

三友堂病院外科

牧野孝俊、横山英一、川村博司、仁科盛之

Key words:術後管理、術後看護、ドレナージ、閉鎖式ドレーン、半閉鎖式ドレーン

Yuya Sato1), Ayumi Kobayashi1), Yuki Shiochi1), Yukimi Shida1), Koko Takahashi1),
Takatoshi Makino2), Eiichi Yokoyama2), Hiroshi Kawamura2), Moriyuki Nishina2)

1)Department of Nursing, Sanyudo Hospital
2)Department of Surgery, Sanyudo Hospital

要約

 当院消化器外科手術における術後のドレナージ方式は、「開放式ドレーン」(以下開放式)の時代から、「開放式」と「持続吸引機能を有しない受動的閉鎖式もしくは持続吸引装置に接続して使用する閉鎖式ドレーン」の併存の時代を経て、「受動的閉鎖式」または「半閉鎖式ドレーン」(以下半閉鎖式)、あるいは「持続的吸引機能を有する能動的閉鎖式ドレーン」(以下能動的閉鎖式)の3方式が併存使用される時代へと変遷してきた。今回、現在採用されている3方式の有用性について比較検討した。
その結果、「受動的閉鎖式」は、逆行性感染を排除でき、処置に伴うコストが少ないという利点があったが、患者にとって挿入部痛や拘束感を伴うこと、また、当院において過去にドレナージが不良で合併症を検知できなかった症例もあり、インフォメーションドレーンとしての信頼性が十分でないことが欠点としてあった。「半閉鎖式」は、滲出液の性状や量の観察が容易であり、術後合併症の早期発見に有用であった。また、インフォメーション、予防、治療というドレーンの目的を十分備えていた。さらに、挿入部痛や患者の拘束感が少なく、身体的、精神的負担が他の方式に比べ軽度であり、日常生活動作(Activities of daily living:ADL)を損なうこともほとんどなかった。また、術後処置に伴う医療材料費も「開放式」の時代に比較して約75%削減できていた。「能動的閉鎖式」は患者が貯留嚢を携行することに伴う拘束感や抜去時の苦痛が欠点であったが、処置が簡便で、医療材料の使用も少なくコスト面でも有利であり、インフォメーションドレーンとしての目的も十分に達成されていた。
3方式の中では、半閉鎖式、能動的閉鎖式が機能的に優れており、両者間の有用性に差は認められなかった。