池田 英樹

財団法人三友堂病院医学雑誌 Vol.12 No.1

原著

     高齢者の進行非小細胞肺癌に対するゲフィチニブによる初回治療成績
First-line gefitinive for aged patients with advanced non-small-cell lung cancer.

池田 英樹

三友堂病院 呼吸器内科

Key words:高齢者、ゲフィチニブ、EGFR遺伝子変異、初回治療

Hideki Ikeda

Department of respiratory desease, Sanyudo hospital

要約


標準化学療法の示されていない高齢肺癌患者において初回治療にゲフィチニブを選択した症例を報告する。対象は非小細胞肺癌でEGFR遺伝子変異を認めた78~94歳の9名の女性である。いずれもStageⅢA~Ⅳの進行肺癌であった。ゲフィチニブ投薬により悪性胸水の著明な減少と腫瘍縮小を得られ、PFSは8~29か月と良好な成績であった。1例で投薬中止を必要とする皮疹を認めたのみで、肺線維症などの重篤な副作用はなかった。高齢者肺癌においてEGFR遺伝子変異を有する症例では初回治療にゲフィチニブを選択する意義が確認された。