川上 圭太 他
財団法人三友堂病院医学雑誌 Vol.11 No.1
原著
回復期リハビリテーション症例における肥満率
Body mass index of patients in a subacute rehabilitation ward
三友堂リハビリセンター リハビリテーション科
川上 圭太
三友堂リハビリセンター 栄養管理室
西田 晃子
三友堂リハビリセンター リハビリテーション技術部
関川 景子
Key words: 肥満率、BMI、回復期リハビリテーション
Keita Kawakami1),Akiko Nishida2),Keiko Sekikawa3)
1)Department of Rehabilitation Medicine,Sanyudo Rehabilitation Center
2)Department of Nutrisional Management,Sanyudo Rehabilitation Center
3)Department of Rehabilitation Technique,Sanyudo Rehabilitation Center
要約
回復期リハビリテーション患者に占める肥満症の比率及びリハビリテーションにて入院中に達成された減量の程度を明らかにすることが本研究の目的である。
回復期リハビリテーション患者107例を対象とし、入院時の身長と体重からbody mass index(以下BMI)を算出し、肥満・正常・低体重それぞれの症例数と比率を求めた。さらに前記3群ごとに入院中の体重変化を算出した。治療の違いをみるため、3群ごとのエネルギー制限食の処方率と1日当りの理学療法及び作業療法の単位数(以下リハ単位数)を比較した。
肥満が男性で7例(16.3%)、女性で3例(4.7%)に見られた。一方、低体重は男性12例(27.9%)、女性17例(25.6%)であった。入院中の体重変化は肥満群で-2.7㎏、正常群で-1.1㎏、低体重群で0.0㎏であった。エネルギー制限食を処方されていたのは肥満群で4例(50.0%)、正常群で18例(25.7%)、低体重群で1例(3.4%)であった。1日当りのリハ単位数は肥満群で4.1単位、正常群で4.2単位、低体重群で4.3単位と差がなかった。
同年代の日本人との比較で肥満群は少なく、低体重群が多いという結果は、回復期リハビリテーション症例では筋肉量の低下が生じており、そのためにBMIの数字上で肥満が現れにくくなっていることが考えられた。
回復期リハビリテーション患者ではBMI以外の指標も用いて代謝面の問題をスクリーニングする必要があると思われる。