渡部 信義 他

財団法人三友堂病院医学雑誌 Vol.12 No.1

原著

全身用X線CT診断装置による3D撮影を用いた透析患者のシャント狭窄部位の撮像(シャント3D)の評価
Evaluation of the shunt 3D imaging using computed tomography for the stenosis of dialysis shunts

渡部 信義1)、渡辺 洋平1)、渡部 保明1)、日野 安見子2)、仁科 盛之3)、鬼塚史朗4)

1) 三友堂病院 医療技術部 放射線室
2) 三友堂病院 泌尿器科
3) 三友堂病院 外科・透析科
4) 東京女子医科大学八千代医療センター 泌尿器科

Key words:シャント3D、シャント部位狭窄、血管撮影、ROI設定

Nobuyoshi Watanabe1), Yohei Watanabe1), Yasuaki Watanabe1), Amiko Hino2),
Moriyuki NIshina3), Shiro Onitsuka4)

1) Department of medical technology, radiology room, Sanyudo hospital
2) Department of urology, Sanyudo hospital
3) Department of surgery and hemodialysis, Sanyudo hospital
4) Department of urology, Tokyo women’s medical university Yachiyo medical center

要約


当院では、これまで透析患者のシャント血管(以下、シャント)の狭窄箇所の検出を行う場合に、血管撮影装置での造影を行っていたが、平成19年8月以後、全身用X線CT診断装置でのシャント3D撮影(以下、シャント3D)による撮像を開始した。今回、平成19年8月から平成23年6月までの3年11か月間にシャントに狭窄を生じた透析患者症例でシャント3Dを施行した72例についてシャント3Dの有用性とその撮像方法について検討した。
シャント3Dによって撮像した対象症例の80%以上で、経皮経管的血管形成術の際に撮影した血管撮影とほぼ同等の良好な画像が得られた。しかし、平成19年8月から平成21年4月までの撮影開始タイミングを目視設定していた期間において、狭窄部位の撮像に成功しなかった症例があった。その原因は、監視部位のウィンドウレベル、ウィンドウ幅の設定が撮影技師によって異なり、最適な撮影開始のタイミングが得られないことにあった。そこで、平成21年5月から平成23年6月まで、大動脈をモニタリング部位とし、関心領域(Region of interest:ROI)設定を行って、CT値が250になった時点から撮影を開始するように設定(自動設定)して撮像を行ったところ、技師による抽出率の差はなくなり、目視設定同様の画像がえられ、狭窄部位も明瞭に描出することができた。
シャント3Dは、透析患者のシャント部位の狭窄箇所の検出に有用であることが示唆された。また、大動脈をモニタリング部位とした撮影開始時期の自動設定(ROI設定)によるシャント3Dは、簡便で、技師による抽出率の差を払拭でき、有効な撮像方法であると考えられた。