川村博司 他

財団法人三友堂病院医学雑誌 Vol.13 No.1

                                特集 チーム医療

原著

          三友堂病院地域緩和ケアサポートセンター緩和ケアチーム活動
-がん患者の自律性を高める早期からの緩和ケアの実践-
Team approach to palliative care in Sanyudo hospital regional palliative care support center
-Earlier palliative care for improving autonomy of patients with cancer-

川村 博司1)、加藤 佳子1)、横山 英一1)、黒田 美智子2)、吉田 美代子2)、
渡部 芳紀2)、吉田 満美子3)、小笠原 未希4)、平 美紀5)、青木 砂織6)、國分 恵7)、大石 玲児8)、野間 祥子9)、後藤 忠幸10)

1)三友堂病院 地域緩和ケアサポートセンター 緩和ケア科
2)三友堂病院 地域緩和ケアサポートセンター 看護部
3)三友堂病院 診療部(臨床心理室)
4)三友堂病院 地域緩和ケアサポートセンター 看護部(音楽療法)
5)三友堂病院 地域緩和ケアサポートセンター 看護部(リフレクソロジー)
6)三友堂病院 地域医療部
7)三友堂病院 看護部(化学療法室)
8)三友堂病院 薬剤部
9)三友堂病院 医療技術部(栄養管理室)
10)三友堂病院 医療技術部(リハビリテーション室)

Key words: チーム医療、緩和ケアチーム、緩和ケア病棟、在宅緩和ケア、地域医療

Hiroshi Kawamura1), Yoshiko Kato1), Eiichi Yokoyama1), Michiko Kuroda2), Miyoko Yoshida2), Yoshinori Watanabe2), Mamiko Yoshida3), Miki Ogasawara4), Miki Taira5), Saori Aoki6),
Megumi Kokubun7), Reiji Oishi8), Shoko Noma9), Tadayuki Goto10)

1)Department of Palliative Care, Sanyudo Hospital Regional Palliative Care Support Center
2)Department of Nursing, Sanyudo Hospital Regional Palliative Care Support Center
3)Department of Medicine, Section of Clinical Psychology, Sanyudo Hospital
4)Department of Nursing, Section of Music Therapy, Sanyudo Hospital Regional Palliative Care Support Center
5)Department of Nursing, Section of Reflexology, Sanyudo Hospital Regional Palliative Care Support Center
6)Department of Regional Medical Communication, Sanyudo Hospital
7)Department of Nursing, Section of Chemotherapy, Sanyudo Hospital
8)Department of Pharmacy, Sanyudo Hospital
9)Department of Medical Technology, Section of Nutrition Management, Sanyudo Hospital
10)Department of Medical Technology, Section of Rehabilitation, Sanyudo Hospital

要約

 三友堂病院地域緩和ケアサポートセンター緩和ケアチームの活動について報告する。緩和ケアにはチーム医療・ケアが重要である。2005年に緩和ケア病棟開設とともに発足した緩和ケアチームは、2009年に開設された地域緩和ケアサポートセンターの所属となり、院内外で活動を展開するようになった。現在「早期からの緩和ケア」、「患者自律支援」を主眼において、チーム活動の強化を図っている。
今回、地域緩和ケアサポートセンター開設後の3年間に緩和ケアチームが取り組んできた外来支援・入院支援・在宅支援について、チーム介入による徹底した症状マネージメントに基づいて行われた治療・ケア・療養支援の内容と、チーム活動の一環として積極的に行われている院内外における緩和ケア啓発活動を検討し、これらの取り組みの成果について評価した。
緩和ケア科の医師、看護師はじめ、薬剤師、栄養士、理学・作業療法士、MSW、臨床心理士、音楽療法士、リフレクソロジストの介入が早期から積極的になされていた。緩和ケアチームによる早期からの確実な症状マネージメントによって、患者は自律性を高め、病状認識を正確に持つことができるようになり、がんと向き合うことができるようになった。がんの進行に伴うさまざまな苦痛の増悪は抑えられ、QOLも長期に渡って維持された。その結果、緩和ケア病棟入棟患者の在宅移行率が向上し、在宅療養期間が延長し、そして在宅死が増加した。早期からの緩和ケアが、入院から在宅へと、がん患者の療養の場に変化をもたらしたと考えられた。