岡田沙希 他
財団法人三友堂病院医学雑誌 Vol.13 No.1
特集 チーム医療
原著
置賜地域のCOPD患者に対する全身状態低下予防を目的
とした地域の食生活の特性を考慮した栄養介入の試み
Nutritional intervention trial to maintain the general condition of the COPD patients in Okitama area
岡田 沙希1)、二宮 久美子1)、山口 武子2)、渡部 悦子2)、池田 英樹3)
1)三友堂病院 医療技術部 栄養管理室
2)三友堂病院 看護部
3)三友堂病院 内科
Key words: COPD、体重、栄養カウンセリング、訪問調査
Saki Okada1), Kumiko Ninomiya1), Takeko Yamaguchi2), Etsuko Watanabe2), Hideki Ikeda3)
1)Department of Medical Technology, Section of Nutrition Management, Sanyudo Hospital
2)Department of Nursing, Sanyudo Hospital
3)Department of Internal Medicine, Sanyudo Hospital
要約
私たちは慢性閉塞性肺疾患患者の急性増悪などによる全身状態の低下予防を目的として早期から栄養介入し、栄養に関する啓発を図るため、栄養カウンセリングを継続して実施してきた。今回、この栄養カウンセリングを評価するために、平成21年度に行った在宅訪問調査(社会環境、食環境、簡易食物摂取状況調査)後の追跡調査を行った。
外来通院患者に対しては、受診時に「体重変動」、「食習慣」、「主訴」を捉えるために独自の聞き取りシートを作成して栄養カウンセリングを行った。栄養カウンセリングの結果、先行調査時に体重減少がみられた患者のその後の体重減少は抑えられており、さらには増加した患者も認められた。体重減少が進行する患者に対しては、食習慣や嗜好を考慮した上で摂取エネルギーを増加させる具体的な指導が有効であると考えられた。
在宅訪問追跡調査では対象患者の日常生活に変化はみられなかった。しかし、簡易食物摂取状況調査では、栄養素別でエネルギー量と脂質量、食品群別で野菜類と油脂類が有意に増加していた。通院せずに在宅で療養している体重減少のない患者に対しては、年に1回程度の家族を交えた個別指導が有効であった。一方で、地域特性上、塩分の多い味付けを好む傾向があり、栄養指導の際には、食生活や嗜好を考慮する必要があると考えられた。