今野可織 他

2010年7月2日

財団法人 三友堂病院医学雑誌 Vol.4 No.1

原著

対象者は作業療法をどのように捉えているか-拒否を示す対象者との関わりを通して-
How does a client think about occupational therapy.-Relation with refusals of therapists-

三友堂リハビリセンターリハビリテーション技術部

今野可織、船山真紀子

山形県立保健医療大学作業療法学科

竹原敦

Key word:作業療法、動機づけ、環境設定

要約

 本研究の目的は、作業療法に拒否を示す対象者との関わりを通し、なぜ対象者が作業療法に対し拒否的態度を示していたか、また、その後の作業療法により、なぜ拒否の軽減という結果が得られたのかを検討することである。
当初、対象者は、作業療法・理学療法および病棟生活において拒否的態度を示すことが多く機能訓練や日常生活活動(以下、ADL)訓練を中心とした作業療法に十分に適応できなかった。そこで対象者の言葉や反応に目を向け、対象者の生活の場である病棟や屋外での介入、作業活動参加への導入に工夫を試みた。その結果、拒否的態度の軽減、作業療法への認識や動機づけに変化がみられた。こうした結果は、適切な環境を対象者に提供した作業を通して対象者が何らかの役割を担うことが得られたためと考えられた。また、対象者は『リハビリ』とは作業療法室で行う機能訓練やADL訓練であり、生活の場で実施した作業療法介入においては、『生活の一部』と感じられていたのではないかと考えられた。