斎藤郁子 他

2007年3月14日

財団法人 三友堂病院医学雑誌 Vol.7 No.1

原著

授業の進度による「清潔の基礎看護技術」の自己効力感の変化
Change of Self-efficacy in “Fundamental Nursing Skills of Cleanliness” by Nursing Education.

財団法人三友堂病院看護専門学校

斎藤郁子

山形大学医学部看護学科

大竹まり子、小林淳子

Key word: 自己効力感、基礎看護技術、清拭、寝衣交換、洗髪、授業評価

要約

 看護学生44名を対象に、基礎看護技術「清潔」の授業開始時、授業終了時、技術テスト前の3回、「清拭・寝衣交換」21項目、「洗髪」15項目の自己効力感について自記式質問紙調査を行った。質問項目は単元目標をもとに独自に作成し、項目ごとに「自身がある」(6点)から「自身がない」(1点)まで6段階評定を求めた。清潔の自己効力感36項目について「授業開始時」「授業終了時」「技術テスト前」を比較した結果、32項目で有意差を認め、授業開始時の自己効力感が最も低かった。授業進度ごとに検討した結果、「清拭・寝衣交換」では18項目、「洗髪」では13項目で「授業開始時」より「授業終了時」の自己効力感が有意に上昇した。また、「授業開始時」より「技術テスト前」の自己効力感が有意に上昇したのは、「清拭・寝衣交換」では19項目、「洗髪」では11項目であった。授業終了時、技術テスト前の自己効力感が授業開始時より高かったことは、授業の効果と評価できる。しかし、3項目で「授業終了時」より「技術テスト前」の自己効力感が有意に低下していた項目があることから一連の技術動作の学習効果を持続させることが課題である。また、清潔の自己効力感に変化を認めなかった技術内容に個別性への対応が含まれている。学内での技術演習の中で、個別性に対応した精神運動能力を求めることには限界があり、臨地実習での継続した教育が必要である。