牧野孝俊 他
2009年6月1日
財団法人三友堂病院医学雑誌 Vol.9 No.1
原著
Tension free鼠径ヘルニア手術における手術手技の検討-Mesh Plug法、Prolene Hernia System法、Kugel法、Direct Kugel法の比較-
The examination of operation technique about tension free hernioplasty -Comparison with Mesh Plug, Prolene Hernia System, Kugel and Direct Kugel-
三友堂病院外科 |
: |
牧野孝俊、横山英一、川村博司、仁科盛之 |
Key word:鼠径ヘルニア、tension free法、Direct Kugel法、手術時間
Takatoshi Makino, Eiichi Yokoyama, Hiroshi Kawamura, Moriyuki Nishina
Department of Surgery, Sanyudo hospital
要約
成人の鼠径ヘルニア手術に関してはMesh Plug(以下MP)が開発され、普及されて以来、メッシュを使用したtension free法(ヘルニア門を縫縮するのではなく、メッシュで補強し、緊張をかけずに修復する方法)が標準的手技となっている。その後、Prolene Hernia System法(以下PHS)、Kugel法など後壁の内側から補強を行う手技(Preperitoneal repair)が広まり、更に前方アプローチ(従来行われてきた鼠径管を開放する手技)によってPreperitoneal repairを行うDirect Kugel法(以下DK)が開発され、日常診療で使用されている。今回、2004年1月から2008年8月まで、3施設(山形県立河北病院、山形済生病院、三友堂病院)において行ったヘルニア手術のうち、tension freeヘルニア根治術を施行した合計61例(MP 30例、PHS 7例、Kugel 6例、DK 18例)に対して、それぞれの術式の手術手技、手術時間について比較検討した。
その結果、平均手術時間は、MP 38.5分、PHS 51.4分、Kugel 45.6分、DK 39.2分であり、DKとMPの手術時間が他の手技に比べ短かったが、内鼠径ヘルニアや大腿ヘルニアにも簡便に適応される点でDKが最も有用性が高い手術手技であると考えられた。