梅津民子 他

2009年6月1日

財団法人三友堂病院医学雑誌 Vol.9 No.1

原著

心臓カテーテル検査患者に対する栄養アセスメントを通しての特定健診・特定保健指導に関する考察
The study of a specific medical examination and health guidance through nutritional assessment of patients performed cardioangiography

財団法人三友堂病院医療技術部栄養管理室

梅津民子、野間祥子、岡田沙希、三村友恵、伊藤智子、二宮久美子

Key word: 特定健診・特定保健指導、メタボリックシンドローム、肥満

Tamiko Umetsu, Syouko Noma, Saki Okada, Tomoe Mimura, Tomoko Itou, Kumiko Ninomiya
Nutritim control room, Department of Medical technology, Sanyudo Hospital

要約

 平成20年4月より国の施策として生活習慣病対策を目的とした特定健診・特定保健指導が開始されたが、これに先立ち当院栄養管理室は、平成19年6月から12月まで心臓カテーテル検査を受けた患者234名に対して行った栄養アセスメントを通し、管理栄養士が患者背景や既往歴、検査値から特定健診・特定保健指導の取り組み方について検討した。患者の既往歴では高血圧症が75%と多かった。特定健診・特定保健指導階層化の判定項目として設定されているBMI(Body Mass Index)、血糖(HbA1c)、脂質(TG(TriGlyceride), HDLコレステロール(High Density Lipoprotein Cholesterol))、および血圧では、患者の37%でBMI25以上、患者の82%でHbA1c5.2%以上であった。非肥満群と肥満群、非治療群と治療群の判定項目の陽性数について比較したところ、非肥満群の平均が1.5個、肥満群の平均が3個と有意差がみられたが、非治療群と治療群の平均は共に2個であり有意差は見られなかった。しかし、非治療群と治療群において、既往歴で糖尿病、高血圧症、脂質異常症を併せ持つ患者と3疾患の既往歴がない患者で比較したところ、3疾患を併せ持つ患者で治療へ移行する割合が高かった。ベッドサイド訪問における患者の生活習慣に対する意識としては、男女共に病院食に比べ味付けが濃いという回答が多く、また、運動の習慣があるという回答は少なかった。今回、心臓カテーテル検査患者について特定健診・特定保健指導階層化の判定項目を中心に、リスク要因について検討を行ったが、生活習慣病のリスク要因としての既往歴と肥満について、その重要性を再認識するとともに当院の対象地域の特性が明らかとなった。保健指導を担う栄養士は、予防可能である生活習慣病のリスク要因について、地域性を考慮し、そして科学的根拠に基づいた健診・保健指導の標準化に着手しなければならない。