木口久美子 他

2006年4月13日

財団法人 三友堂病院医学雑誌 Vol.6 No.1

症例報告

化学療法の副作用に対する緩和ケアにおいてKOMI(Kanai Original Modern Instrument)理論を導入し看護の質を向上させることができた1症例
A case received high quality nursing on the palliative care for symptomes caused by several side effects of chemotherapy, using KOMI(Kanai Original Modern Instrument) theory.

三友堂病院看護部

木口久美子、伊藤麻衣子、仁科勇子、三浦信枝、高橋廣子

三友堂病院医療相談室

三ケ山実千夫

三友堂病院内科

古川匡和

Key word:KOMIチャートシステム、緩和ケア、化学療法、QOL

要約

 化学療法は、その副作用により、Quality of life(QOL):生活の質の低下、時には、生存期間の短縮さえ招く場合がある。化学療法を施行された1症例にKomi Original Modern Instrument: KOMI理論を導入し、ケアの質を評価し、その向上を図った。化学療法の施行前・施行直後・2週間後・1か月後のKOMIチャートおよびKOMIレーダーチャートを比較した。経過とともに多くの項目で悪化が認められた。これは化学療法の副作用および原疾患である癌の進行によるものと考えられた。しかし、一部の項目、特に「呼吸」、「起居動作」、「移動の自由」、「気分・感情」そして「快・不快」の項目では改善が認められた。これは、患者のQOLや症状を身体面・行動面・認識面から客観的に評価し、悪化している部分に積極的に対策を講じることで身体的苦痛や精神的不安を軽減することができたためと考えられた。KOMI理論の導入は、化学療法の苦痛に対する緩和ケアの質を向上させるために有効であった。