相馬直記 他
2010年7月2日
財団法人 三友堂病院医学雑誌 Vol.3 No.1
原著
皮膚潰瘍面・壊死組織の滲出液に対するMacrogolを基剤としたGel製剤の創製
Pharmaceutical preparations of Gel with Macrogol base for Exudation from Ulcerated and Necrotic tissue.
三友堂リハビリセンター薬局 |
相馬直記 |
三友堂病院薬剤部 |
小方祥光 |
三友堂病院外科 |
松嵜正實・仁科盛之 |
Key word:滲出液、Macrogol、ゲル、皮膚潰瘍、悪臭
要約
進行乳癌患者の皮膚潰瘍組織からの悪臭に対して、ワセリン乳化剤を基剤としたMetronidazole含有の軟膏にて処置を行い悪臭の軽減を認めたが、滲出液が多く、対策に苦慮した。そこで、基剤に吸水性性質をもつMacrogolを用いることで組織滲出液は効率よく吸収され、患者QOLの改善、医療従事者の処置負担の軽減がはかられた。また、頚部悪性腫瘍患者の感染性壊死組織に対してもMetronidazoleとGentamicin Sulfate含有のMacrogol基剤Gel製剤外用にて悪臭の軽減、細菌量の減少および組織滲出液除去効果を認めた。これらの症例から、Macrogolを基剤としたGel製剤の臨床での有用性、使用量を想定して、豚の組織を用いてMacrogolの混合比と吸水性について実験検討した。その結果、今回使用したGel製剤は、優れた吸水能を有し、皮膚潰瘍、壊死組織の滲出液除去に有用であると考えられた。