白玉美
2010年7月2日
財団法人 三友堂病院医学雑誌 Vol.4 No.1
原著
切除不能進行肝細胞癌におけるリザーバー動注化学療法の検討
Chemotherapy for advanced hepatocellular carcinoma: intraarterial infusion with reservoir system.
三友堂病院放射線科 |
: |
白玉美 |
三友堂病院内科 |
: |
古川匡和 |
三友堂病院外科 |
: |
川村博司 |
内科消化器科石橋医院 |
: |
石橋正道 |
東北中央病院放射線科 |
: |
大竹修一 |
Key word:肝細胞癌、リザーバー、動注化学療法
要約
切除不能進行肝細胞癌に対する動注化学療法の治療成績について検討したので報告する。対象は1998年6月から2003年2月までにリザーバー留置を施行された12例(男性11例、女性1例)である。年齢は43~78歳(平均63.6歳)である。腫瘍成因背景はC型8例、B型3例、NBMC1例であった。肝機能障害(Child-Pugh grade)はA7例、B4例、C1例であった。
腫瘍進行度はⅣA10例、ⅣB2例であった。動注化学療法の薬剤投与は基本法と変法に分けられた。基本法では導入療法として(CDDP10mg 5FU250mg)×5日×4週の後に維持療法として週1回のCDDP10mg 5FU250mgが施行されていた。変法では、肝機能、全身状態、副作用を考慮して、4週間連続投与しない、毎週投与(CDDP10mg 5FU250mg、あるいは、CDDP5mg 5FU500mg)であった。初期治療効果の奏効率と生存率を算定した。初期治療効果の奏効率は71.4%、1年生存率71.4%、2年生存率53.6%であった。切除不能進行肝細胞癌に対する動注化学療法はQOLの維持と、生存期間延長に寄与する有用な治療法であると考えられた。