今井家寿

2006年4月13日

財団法人 三友堂病院医学雑誌 Vol.6 No.1

症例研究

当院における糖尿病性神経障害検査の意義
The meaning of examination in diabetic neuropathy in Sanyudo hospital.

三友堂病院中央検査部

今井家寿

Key word:糖尿病合併症、糖尿病性神経障害、MCV、CVR-R

要約

 糖尿病の合併症には神経障害、網膜症、腎症などがある。その中でも、神経障害は比較的初期に症状が出現し、頻度も高いことが知られているが、糖尿病の進行度と神経障害の発症の関係は、はっきりとはしていない。そこで、我々は当院における糖尿病教育入院患者のDMスクリーニング検査(MCV,CVR-R)を用いた神経障害の程度とHbA1c値の関係を調査した。結果、MCVでは、糖尿病のHbA1c値とは相関は認められず、調査した人の約8割に何らかの異常がみられ、中でも上肢にくらべて下肢の神経が障害されていた。CVR-Rでも同様にHbA1c値とは相関を認めず、ほとんどの患者に3種類の値の変動が少ないことがわかり、自律神経が障害されていることが考えられた。このことから、糖尿病性神経障害を早期に診断する上で糖尿病と診断されたら無症状でも合併症の発症、進展を防止する必要のためにもDMスクリーニング検査を行うことが重要である。