黒田美智子 他
2006年4月13日
財団法人 三友堂病院医学雑誌 Vol.6 No.1
原著
三友堂病院在宅緩和ケアシステムの構築-通院・在宅から入院、入院から在宅へ-
The establishment of the home palliative care system of Sanyudo hospital.-From outpatient or home care to hospital care and from hospital care to home care-
三友堂病院在宅緩和ケアチーム 三友堂病院看護部 |
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黒田美智子、高野直美、江部涼子、後藤育子、渡部芳紀、木口久美子、鈴木律子、三浦信枝 |
三友堂病院薬剤部 |
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大石玲児 |
三友堂病院医療相談室 |
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三ケ山実千夫 |
三友堂病院緩和ケア科 |
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横山英一、川村博司 |
Key word:在宅緩和ケア、症状コントロール、情報コミュニケーション、チームアプローチ
要約
緩和ケアとは、がん患者とその家族に対して、最期まで尊厳を持って生きるための「生」を支えるケアを実践することであり、具体的には、患者の苦痛からの開放、療養生活におけるQuality of life:QOL(生活の質)の向上を図ること、また、患者と家族の絆を深め、患者が自らの人生の総括を行えるように支援することである。当院では、その基本理念として、[(1)全人的な痛みに対する解決 (2)安心を得られるケアの実践 (3)患者・家族の意思の尊重 (4)患者一人ひとりの死への過程に対する敬意]を掲げた。この基本理念は、在宅緩和ケアを実践していく場合においてより一層重要視されなければならない。この理念に沿った在宅緩和ケアシステムを構築していくためには、まず、通院・在宅から入院、入院から在宅へのケアの継続が必要であると考えた。このケアの継続の過程の中で外来が果たす役割は大きい。そこで当院外来における緩和医療の現状を評価し、問題点を整理し、これに対する対策を講じることとした。通院、入院、そして在宅へのケアの継続を図るための課題として、患者の症状の的確な把握と患者情報の円滑な伝達が挙げられた。すなわち、患者・医療者間および医療者・医療者間の情報コニュニケーションの改善である。この課題を解決する目的で、「聞き取り票」、「痛み日記」、「緩和ケア個人情報書」そして「在宅緩和ケア訪問診療対象者チェックリスト」を作成し、外来診療に適用した。その結果、これらのツールは、的確で継続した緩和ケアの実践を可能にし、当院における緩和医療の質の向上に有用であった。