二宮久美子 他
2006年4月13日
財団法人 三友堂病院医学雑誌 Vol.6 No.1
原著
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者への栄養介入法の検討
An evaluation of nutritional intervention for patients with chronic obstructive pulmonary diseas.
三友堂病院医療技術部栄養管理室 |
: |
二宮久美子、伊藤智子、三村友恵、板坂裕子 |
三友堂病院内科 |
: |
池田英樹 |
山形県立米沢女子短期大学健康栄養学科 |
: |
加藤哲子 |
Key word: COPD、体重、NCM、包括的呼吸リハビリテーション
要約
当院における慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の効果的な栄養介入法について検討するために、HOT外来通院中の患者を対象に、栄養に関する実態調査と、栄養指導の有用性について調査を行った。対象は2003年9月から2004年2月までの外来通院患者19名(男性17名、女性2名)で、栄養指導実施群(A群)8名(平均年齢73.3±5.0歳、HOT導入7名)、栄養指導未実施群(B群)11名(平均年齢75.5±7.6歳、HOT導入6名)である。調査内容は、食事調査・身体計測・臨床検査・健康関連QOL調査の4項目で、A群、B群にわけて比較検討した。結果は、A群において、栄養素の摂取割合や食品群の選び方が推奨されるCOPDの栄養療法に近い良好な食事内容で、3か月後の摂取エネルギーや体重の増加がみられ、栄養指導の有用性が認められた。身体計測では、やせ型が多く筋肉量が少ないCOPD患者に多くみられるmarasmus型の栄養障害を認めたが、栄養指標である血清アルブミン値は正常域であった。また、QOLの評価では、点数が高くQOLが低いことがわかった。さらに、QOLは体重減少が大きいほど低いことがわかった。
COPD患者の栄養介入は、早期に、効率よくエネルギーが確保できる具体的な栄養指導が求められていることがわかった。さらに、当院における早急な包括的呼吸リハビリテーションの確立の必要性があると考えられる。